今日の午前中に渋谷文化村のエッシャー展に行って参りました。
明日で終了ですから、ギリギリだし、大盛況な噂も聞いていたし、混んでるかもしれないけれど、金曜の昼間だから、たかがしれているだろうと思ってたんです。
が。甘過ぎました。滅茶苦茶に人が多い!で、人垣の隙間から絵を見る感じでした。何だかんだでT氏も一緒に来たので(大丈夫か入試)、背伸びしてみたり遠ざかってみたりしながら絵を見る、身長150cm台二人、という悲しい構図に。
展覧会の絵は一般的な身長の人の目線くらいの高さに掛けられている訳で、それなら人の隙間から見られるんですが、今回は展示会場の広さの関係か、一部の作品が低めに掛けられていて、相当難儀を致しました。立ち止まって見てると、おばさんがどんどん押してきやがるし。
でも照明なんかは、丁寧に調節してあったのか、低反射硝子を使ってたのか知りませんが、反射して見えないという事態も殆どなく、快適。
エッシャーの絵をCGで動かす、なんていう面白い企画もあり、つくづく金持ってんだなぁなどと見当違いな感慨を抱いたり。そう言えば文化村の過去の展覧会も、ピカソとモディリアーニだとか、エルミタージュ、ポンペイ、印象派……と文化村自体のコレクションが無い分だけ柔軟にいろいろな所から持ってきていて、節操はないし金にものを言わせている感があるけれども面白くはあるなぁ。しかも、客の入りそうな、既にメジャーな作家のものばかり開催してるような気が。ううん。儲けてるんだろうなぁ。公立美術館のキュレーターが見たらキレそうな展示だよ……。
いや、でもあのCG、ちいさなトカゲが、エッシャーのデザインから抜け出てちまちまと歩き回り、三角定規を渡ったり立体から転げ落ちたりと、可愛らしいこと。しかし、どうせなら「でんぐりでんぐり」でやって欲しかったなぁ。
前半の風景画などの騙し絵でない作品のあたりには、人が多かったけれど、後半の、本当ならメジャーなはずの騙し絵の方が、人が少なくなっていた気がします。あの狭い会場、観客が疲れるというのは余り考えられません。やはりサイコだからか?(ぇ)
しかし、気になったのは音声ガイドを利用する人の多さ。ここの音声ガイドは、やっぱ金があるんだなぁ、全部NintendoDSで、ヘッドホンで解説が聞け、画面で絵の細部が見られるようです。借りてないから詳細は知らないけど。
しかしそれがウザい。絵を見るより画面を見てる人や、絵と画面を見比べてる人がだらだらと固まって、人が流れない……。
そして、西洋美術史をわずかなりともかじる者として……お前らガイドを見るor聞く前に自分で調べて来いや!!と叫びたくなった。
だって、本物を見たい絵があるから美術館に行く、というのが正常。何となく知りたい・見たい・行ってみたいというささやかな知的好奇心もアリだとは思うけど、少なくとも液晶画面を眺めに行くってのは不可思議です。そんな子はお家で図版でも眺めてなさい。
うーん。美術がたくさんの人に広く親しまれるのは嬉しい現象ですが、その分、美術に親しむ人の知的水準が下降気味なんじゃなかろうか。自分で知ろうとせずに、誰かに説明を求めて、絵を鑑賞した気分に浸ってる。僕自身もその嫌いがないとは言いませんよ? 例えば日本美術とか現代美術とかの畑違いの分野では、図版に添えられた解説を鵜呑みにする事も頻繁にあります。だって絵の読み解き方、文法が理解できないんだものー。それでも、たくさん実物をみてると、絵巻物や金屏風の思いがけない魅力に出会したりして、西洋美術以外もいいなぁと思います。もう日本美術を基礎から学び直すには手遅れですけど。
でもしかし、美術は、昔からネームバリューとか権威者の解説とかを狂信してしまう傾向があった分野だろうけど、近頃その狂信っぷりに磨きがかかっておりますね。(暴言)
まーその狂信者がいないと美術館の企画展もやっていけないんでしょうけど。(暴言その2)
印象派展とかピカソ展とか開くと、まずアタルんだって?あははどっちも渋谷文化村でやってたねぇ。(暴言その3)
さて暴言はこの辺で収めて。
午後から授業なので千葉にとんぼ返り。授業終了後、エッシャー展のカタログを抱えて図書室(溜まり場)に行き、いろんな人に「でんぐりでんぐり」を見せ、可愛いでしょう?と訊いてまわりました。(迷惑)
女性には割と好評で、「生きてるでんぐりでんぐりが欲しい、飼いたい」と仰る方もいましたが、男性は冷静且つ理論的に「コイツ、階段のサイズからして人間並みの体長だって。飼うどころかこっちが食われるよ。」と。
そういえば、T氏はミュージアムショップのガチャガチャで「でんぐりでんぐり」を出したみたいです。300円のガチャガチャの割には造りがちょっとちゃちくて、足は動かないみたいだったし、僕がいじると壊しそうだったから試みなかったけど、どうもアレは丸まりそうにない。それでもちょっと羨ましい。
しかし帰りの電車中、「丸まったっ!」というタイトルのもと、丸まった「でんぐりでんぐり」の写真が送られてきて、なんとなく幸せな気分。嗚呼可愛い「でんぐりでんぐり」。翻訳者のネーミングセンスに乾杯。
あ。説明し忘れてましたが、「でんぐりでんぐり」とは、エッシャーの想像上の生物です。甲殻類みたいな背中に、昆虫みたいな目、そしてなぜか人間の様な足が6本生えてます。平坦な場所を移動する際には、でんぐり返しして丸まるんです。可愛い。欲しい。飼いたい。

2007.01.12